2つの正弦波の位相差を求める方法-06
ノイズの影響
前回までのシミュレーションは,理想的な正弦波を作成してみましたが,波形にノイズが加わるとどの程度位相の推定の精度が変化するかを確認しました.
今回は,Labviewをもちいて,ガウスホワイトノイズを加えてみました.
まずは,前ページと同じ条件で,ノイズが0,の場合です.
Noise = 0:
たすき掛けと非線形近似による推定を行いました.全ページと同様に,30度の位相を正しく算定できています.
非線形近似による位相計算においても,30度と正しく算定できています.
次に,ノイズを加えたときの結果です.
Noise = 0.02:
非線形近似においては,Φ=29.83,といい感じに算定できましたが,たすき掛けでは,NaN,という値が出てしまいました.
これは,ばらつきによって,arcsin,が-1以下,1以上,の値を取ってしまったからです.
これらの,NaN,を除いて計算したのが,右下の結果です.これも,Φ=29.6±15.92,と標準偏差は大きいですが,なんとか平均値はいい感じです.
Noise = 0.04:
非線形近似においては,Φ=29.79,といい感じに算定できました.実際の波形を見てもそれほどノイジーではないですね.
しかし,たすき掛けでは,Φ=23.14±25.91,と平均値,標準偏差,双方ともあまり良くない値となってしまいました.
これは,非線形近似においては,すべてのデータから推定しているのに対して,たすき掛けでは,2点間の位置関係から位相を求めているので,計算不可能な場合が多くなっていたためかと思います.
ですので,たすき掛け,はノイズにはあまり強くないのかな?と感じました.
しかしながら,いろいろなシミュレーション,LTspice,などの解析にはとても心強いツールとなりそうです.楕円のベクトル積など初めて学ぶ点も多く,勉強になりました.